『最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙』(講談社

昨年の夏にNHKハイビジョンで、冬にはNHK総合で、「最後の言葉 作家重松清が見つめた戦争」という番組があった。かっての日本軍が、戦場で書いていた日記というものの存在(米軍が資料として英訳したもの)がわかり、それを遺族の元に届けてあげようではないか、というのがこの番組の大ざっぱな要約。その過程の中で、日記に書かれた状況をよりよく知るために、現地(ガダルカナル島など)にも赴いている。それでその放映された番組が、どうやって作られたのかを記録したのがこの本。まあ、これは目次をみればわかることだが、重松清が書いているのは、序章と終章だけで、メインの部分は、渡辺孝というNHKのディレクターの文章。やはり、重松清の文章ほど、すらすらと気持ちよくページをめくることはできない。
私はその番組を見ていたからこそ、「ああ、ここで涙をながしていたのは、あのおじいちゃんだよな」とか、確認しながら読み進めることができた。そして、「扱われていた日記には、こんなことが書いてあったんだ」と、テレビでは触れることができなかった部分を知ることができて、よかったような気もする。だけど本来ならテレビだけ見て、それらがすべてわかるのが一番いいわけで。番組を見なかった方が、この本を読んでどうだろう。やっぱり、理解しづらいところがいくつもあるような。知らぬが仏で買わないのがいいかもしれない。帯に「たとえ涙が、とまらなくなっても」とあるけど、まったく泣くところないし。

NHK衛星第二「15年 あなたと家族の物語」

8/7(土曜日)19:30-21:30に、重松清他出演「15年 あなたと家族の物語」という番組の再放送があるとのこと。本放送を見逃してしまったので、忘れずにテレビの前にいたいと思う。