作品の中身とは無関係な話を長々と書く。
もともとは4/3に公開を予定していた本作。延期されたものの、その決定はわりとぎりぎり(公式サイトの記載では3/30)だった。新型コロナウイルスの影響が強まるなか出かけていいのものか、当時は思案していた。
前向きになれなかったわけがシネコンのアナウンス。立地によって状況の違いがあるはずなのに、グループでおそろいの告知を出すだけ。そこに人間の意思が感じられなかった。
一方であつぎのえいがかんkikiや逗子のシネマアミーゴなどミニシアターの案内は、私の心に響くものだった。
消毒には何を使っていて消毒する箇所はどこそこだとか、当館で密な状況は考えにくいけれど換気をおこなうだとか。ちゃんと思考のあとがうかがえた。
結局、公開は本日になった。しかし状況はあまり変わっていない気がする。新宿の小劇場でクラスターが発生し、客までもが全員濃厚接触者となったのを聞くと、気の重さはあのころ以上かもしれない。
予約にあたってシートマップを見ると、109シネマズ湘南では1席おきの販売になっていた。
劇場中央のブロックは12席(販売6席)で、ここは選びにくい。人のあいだを出入りするのは避けたいから。一方で左右のブロックは2席とか3席だった。3席なら「人〇人」もしくは「〇人〇」。販売1席の列を選べば、わりと距離は確保できるかなと。
実際に行ってみたら、周辺には誰もいなくて一番近い人でも3mぐらい離れていた。ある程度の安心ができたのはよかった。
それでその一番近い人(男性シニア)なんだけど、予告編には目もくれずポップコーンとスマホに夢中。作品が始まっても光がついてたらいやだなー、でも劇場で映画を見るのはそういう人がいちゃうのも込みの体験かなと。
スマホで思い出した。事前には接触確認アプリのことも気にしていた。劇場って通常、電源オフが求められて、そうするとインストールしてても意味をなさないんだろうなとか。
ここからようやく中身の話。
飯塚健監督については、2006年に『放郷物語』を見ている。キービジュアルが好みだったものの、私が思っていた方向性とは違った記憶がぼんやりとある。
本作の感想は、たいして言葉は出てこないんだけどいい映画だなあと。
季節や時間、その場の空気がうまく包まれていて、どのシーンを切り出しても美しいと思えるような……。写真的なのかな。
高さを出した場面が多かった。それは病室の窓から遠くをのぞめたりなど単純に高いところもあれば、作中で効果的に使われるめじろ台駅そばの跨線橋は、地上からでも撮れるものをあえて俯瞰して見せたりもしている。
そういうシーンを意識的に入れないと、人物をとらえて会話する絵がひたすら続いてしまうということなのかもしれない。
ちなみに上で書いたポップコーンとスマホの人だけど、上映中は2回スマホを触っていた。1回は上司と食事をするシーンで、ここで集中が切れるのはわからなくもない。何回か似たような場面を重ねているから。
もう1回は終盤。時間を確認したのか、何かの着信を見たのか、短時間でライトは消えた。