東大作著、重松清解説『犯罪被害者の声が聞こえますか』(新潮文庫、2008/4)

私も一応、犯罪被害者なのでわかるが、その立場は本当に理不尽だ。刑事においては、単なる「証拠品」に過ぎないので、いつ裁判が始まって終わるとも知らされない。治療費を加害者が払うことはごくまれで、多くの場合、まったく悪くない被害者が自ら負担している等々。
本書は、そんな現状を改善するべく立ち上がった被害者たちを追う1冊。親本は2年まえに講談社から出ていて、その後の状況が若干加筆されている。

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ここに描かれた理不尽は、巻き込まれなければ決してわからない。そうしたことを懇切丁寧に伝えている点で意義がある。だけど、悲しいかな、本としての面白みはない。