白井克彦×枝廣淳子著『早稲田の杜から「変える力」を考える 大学力』(主婦の友社、2005/10)

白井は早稲田の現総長。枝廣さんは環境ジャーナリストで、『朝2時起きで、なんでもできる!』の著者。そんなふたりの対談本。内容は、教育のあり方や、早稲田が学内へ、そしてまた学外へ開かれるようになったことについて。
読んでいるうちに、不思議と勉強したくなった。この本はおそらく、ビジネス書として読まれるのだろう。しかし、学びの意義を考えさせるという点で、自己啓発本ともいえるかもしれない。
あまりにも正論ばかりななかにあって、少しおやっと思ったのは、白井のこんな発言。

学校って、ちょっと便利なんですよ。単に求職中というなら、その人は無職という肩書きで、必死に仕事を探し続けなければなりません。でも学校なら、新しいスキルを身につけながら、あるいは新しい人間関係を作りながら、少しじっくりと仕事を探すための避難所としても機能します。(p.225)

ちょうど1年ほどまえ、理系の院生の方と話す機会があった。その人は、「研究もしないで、ぶらぶら遊んでるやつって、なんのために院生にやってるんだろう」と嘆いていた。
白井がいっているのは、「ポジティブな避難生活」なのかもしれない。しかし、こうした発言によって、避難の意味を履き違えるやつが出てきているのではないかという気もする。