西村賢太著、江上剛解説『一私小説書きの日乗』(角川文庫、2014/10)

著作を読むのは初めて。それ以外はどうだろうとエバーノート内を検索したら、3つ出てきた。
ひとつめは、生い立ちと藤澤清造について語った夕刊フジの記事(2008年2月3日付)。ふたつめは『野性時代』の貧乏特集(2008年8月号)。そしてみっつめが参院選にコメントした朝日の記事(2013年7月13日付夕刊)。
最後の朝日の文中で
「働ける日本人全員が、普通の賃金で働くにはどうしたらいいか。政治家にはそれをもっと考えてほしい」
という部分にはかなり共感したのを覚えている。
本書はそんな西村の日記。期間は2011年3月7日から翌年5月27日。
編輯者とすぐいさかいになる反面、礼状はまめに書くという作家の部分から、大食漢の胃袋を満たすもの、サウナ・風俗行きといった私的な部分まで、たっぷりと楽しめる1冊だった。
驚いたのはテレビに出る回数がすごいなあと。数えていないものの、月2ペースはあった気がする。
以下、いくつかメモ。
(p.17)『波』表紙の筆跡掲載、謝礼は8000円:5000円でもなく、1万円でもなく、8000円。
(p.152)文化の日東スポは休刊だが、大スポ・九スポは発行のため、連載はそれ用の1話完結エピソードを書いた:こういうことがあるのか……。全部よみたいファンは注意しないといけない。
(p.172)新潮文庫で2冊目以降になるとき、背表紙の色は選べる:これを知ると、棚を見るのが楽しくなりそう。
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