『スポーツアルバムNo.45 牧田和久』(ベースボール・マガジン社、2013/7)

このシリーズは中身が濃くて、いつも楽しんでいる。今回も満足な内容。ただインタビュー3本が雑誌の再録で、すでに読んだ人は物足りないかもしれない。
いちばん工夫を感じたのが、PCの検索ワードについて語った企画。ふつう他人に披露するものじゃないからね……。抜き打ちで調査してくれたら、もっと面白いのが見られるのかもしれない。
以下、気になったところを箇条書きで。
(p.37)テレビで見ていた選手とプレーするのを、大石と「1日体験入団してるみたいだな」と話していたとか。面白い言い回しだ。
(p.38)松沼博久とのアンダースロー対談は興味深い。「左バッターには左肩が開いてからでないと投げられない」(牧田)「左バッターのアウトコースへのボールの使い方がうまい」(松沼)など、同じ立場ゆえの深い話がなされている。
(p.41)ジャイアンツ阿南徹にとって、牧田は電化製品オタク。そして蛍光色が好きで、ふたりはおそろいの財布を買ったそう。まるで恋人同士だな。
(p.45)自身のチャームポイントは眉毛。角度や左右の確認法を語る牧田の語りっぷりを見て、私もやりたくなってきた。
(p.62)「取材されて自分が話していることって、逆に自分に『こうしなきゃ』と言い聞かせている部分もあるんですよね」。これは考えに自信があるからこそだと思う。
(p.65)本文で取り上げられているワード以外に、「スクリーンショット 方法」とか、あるいは「CAMELOT 禁断の王城」というドラマへのリンクが確認できる。牧田本人なのか制作スタッフのものかわからないが。
(p.67)父が高校生の牧田に、「県外から来た選手たちには負けるなよ」と言ったら、本人は「オレだって、負けたかねぇよ」と泣きながら言い返したそう。いまの牧田からは想像できない熱を感じる。
(p.76)ドラフトにあたって、調査書は西武からしかこなかった。そして順位の確約もなかったという。裏返してライオンズ側から見れば、2位ではなく下位でも指名できたということかな。
(p.78)社会人野球のあゆみのなかで、ライオンズ2軍戦の登板に触れられていないのが残念。たぶんにプロ入りへ近づく意味あるものだっただろうに。