『波』2010年10月号

中森明夫著『アナーキー・イン・ザ・JP』の書評を書いている。また同書の帯に推薦文も書いている。
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/304632.html

『現代』2009年1月号

特別企画42年のクロニクル「『現代』は何を伝えてきたか」を書いている(全32ページ)。講談社の会議室に3日間通い、創刊以来のバックナンバーに目を通した筆者がつづる『現代』が伝えてきたこと。
重松清の文章について書くと、全体としては切り口の数が多すぎる印象。部分的なところでは、70年代後半の『現代』で学校と教師は悪くいわれ通しだったという指摘が面白い(p.324-325)。それだけ否定的に書かれながら、先生の権威はよく保たれてきたものだな。
あと、創刊のころの誌面と現在の両方に登場しているのが、田中角栄石原慎太郎ぐらいだという言及には失笑(p.339)。文脈上とはいえ、重松清石原慎太郎を持ち上げるとはね……。
もうひとつ。夫人が語る大宅壮一の姿は興味深い。夫人が買い物をする間、大宅はベンチに座り「人の流れ」を見るのが常だったそうだ(p.344)。私も人の流れをながめるのが大好きだ。もっとも、大宅ほど多くのことに気づけてないだろうけど。
合間に挿入される歴代編集長コラムは短いながらもいい。一番思うところがあったのは、発売当日に10億円の損害賠償請求を受けたという記述(p.338)。こうした高額訴訟に耐えられる体質がないと、スクープ系のノンフィクションはやってけないんだよな。そういう意味で休刊が惜しまれる。後継誌が刊行されはしたけれど。