続・噂の山パンバイト

イントロダクション

1ヶ月ほどまえになるだろうか。金が底を尽きた。資格試験を受けたいのに、その受験料さえ困るような状態である。
私は手を出した。いや、出してしまった。再びの山パンバイトに。立ちっぱなしで疲れがたまる足、ちっとも過ぎていかない時間…。これから綴るのは、そんな苦しき5日間の物語である。ちなみに前回(1年半ほどまえ)の模様は以下に残されている。
http://d.hatena.ne.jp/amanomurakumo/20060323

面接という名の説明会

前回働いたのは武蔵野工場であった。場所が違うと、若干やり方も違うようで、今回のところでは面接があった。バイトをしたいむねの電話をかけると、その時間と登録番号なるものを告げられる。
時間は土曜日の10:30。だらけた生活をしている身にはちょっと早い。受付で髪の毛を落とさないようヘアネットを渡される。それをかぶり、もらった地図を見て会場へ進む。
ホールに入ると、人事氏のまえに列ができている。順番が回ってきて、名前と登録番号を告げる。そして履歴書を渡すと、人事氏は3秒ほどチェック。それと引き換えに記入書類をもらう。最後に、電話申込時にいった勤務日、および昼勤か夜勤かを確認した。私は後者である。
受け取った順に席につき、書類を書く。住所だとか、交通費がいくらになるかとか、危険なものに触らないという誓約書とか…。あとは郵便口座。給与の受け取りについてだが、この工場の場合は郵便口座のみで、銀行は不可だそう。私はしかたなく作りにいった。
人事氏の説明は、働くに当たっての注意事項、作業服の着方やサイズはこんなふう、といったことを雑談も交えつつ。「機械があって、ケースを出す人、商品を詰める人、包装紙を出す人、ラベルを貼る人、所定の場所に置く人がいる」と工程の説明があったのには安心する。武蔵野のときは、当日いって生産ラインに入るまで、何も教えてくれなかったし(事前の説明会もなかった)。
あと、今回私たちがこの時期に募集されたのは、お彼岸のための「おはぎ」作りがメインなのだが、「おはぎ」と「ぼた餅」の呼称の違いは…、といった作業には関係のない話もしてくれた。
その最中に、周りの人たちには身分証明書が返却されている。あれ、私、出していないのだが(結局、何もいわれず)。さらに、書類に記入した口座番号が正しいかどうか、チェックがある。だから、ちゃんと通帳なりカードを持っていかなければならない。
最後に工場の案内。といっても、生産ラインのなかではなく、食堂とか更衣室、貴重品ロッカーなど。あとはトイレの使い方。といっても、もちろんどうやって用を足すかの説明ではない。山崎パンには、消毒用アルコールに手をつけて、ドアを開けるようになっているところが多々あるのだ。
説明会の終了は12:30。きょうは勤務ではなく、それゆえ給与や交通費は出ないのだが不満はない。武蔵野工場のときは、初日の朝にたくさんの説明をされて、パニック状態だったから。

1日目

この日はまず、食堂内に併設されている売店ヤマザキYショップ」(7:00-19:00)でくつを買う。作業時に履くものだ。武蔵野工場では貸してくれたのだが、ここは持参。指定は白地でひもなし、かつ甲が覆われたもの。ちなみに売店で売ってるやつは1680円だったかな。別に山崎製品じゃないので、私たちが買ったところでたぶん会社の儲けにはなっていない。ちなみに入口の下駄箱をのぞいてみると、自前のものと、ここで売ってるものの人の割合は3:7か4:6ぐらい。
不満なのは、サイズがそろってないこと。私が買ったのは27.5でその下は25とか。たぶん、アルバイト初めての人が多く入る時期で、切らしているのだろう。
くつを入手し、着替えた後、貴重品ロッカーに財布と携帯電話を預ける。このロッカーがやっかい。暗証番号を入力する方式なのだが、ロッカー100箇所超に対して入力機はふたつ。再び開けるときには、ふたつあるうち入力したほうの機械でなければいけない。つまり、入力機どうしはデータをやり取りせずに、独立して記憶しているようだ。このことに気づかなかったら、ずっと開かないままだったかもしれない。
あとは、自分がどの番号に預けたかを忘れがち。これはロッカーのうえに、名前と預け入れたロッカーの番号(暗証番号ではない)を書く紙があって、もしものときの覚えになる。
作業の話に移る。きょうはずっと、おはぎのこしあんをラインに乗せる仕事だった。機械から出てくるものをちょっと楕円に整える。後からわかるのだが、この作業はこしあんだと楽なほう。ちなみに全4種でほかにごま、つぶあん、きなこがある。ごま、きなこについては、塗(まぶ)す必要があるので、とてもとても大変。
6時間ぐらい働いた後、0:20から休憩だった。この時間は日によってばらばらで、早いと22:00ぐらいのことも。
休憩は1時間で、この間を利用して食事をすることになる(別に食べたくない人はそれでいいのだが)。
ここは食堂があり、24時間のうち16時間ぐらいやってる。たとえばこの日のメニューは、生野菜、唐揚げとフライドポテト、春雨サラダ、味噌汁、ライスとひととおりそろって210円。この値段は、独立採算では無理だろうな。
なお、お金を持っていなかったとしても、山崎のパン製品はいつでも無料で食べられる。ただし持ち出しは厳禁。
この食堂なのだが、ちゃんとBGMがあって落ち着く。快適な環境にしようという努力がうかがえる。天井が高いのもいい。
食堂脇には休憩スペースもあり、マッサージチェア(?)や新聞、漫画、本、テレビ、飲料の自販機などがある。レアなものでは『やまざき』という社報や、組合誌もあった。
この日は3:00であがり。しかし、早くあがれたところでバスは動いていないし、駅まで歩いたとしてもまだ電車が始まっていない。

2日目

きょうはふがし、黒糖、北海道マークの入ったパンのラインに就く。後半はおはぎのしこみ。
この日の夜食は、カレイの煮付けとちくわあげ、海草サラダ、ライス、味噌汁、白菜のピリ辛卵(玉子?)炒め。

3日目

おはぎのラベルはりをする。
23:05、休憩に。いつもと同様のルートで食堂にいこうとしたら、「こっちだよ」といわれる。そして、そのエレベータに乗ると、あれほどの時間をかけて戻っていたのが、一瞬であった。
夜食は、ライス、味噌汁、マカロニサラダ、豚肉のうなだれ煮、里芋と鶏肉のとろみあん。「うなだれ」って何だろう。検索してもわからない。
後半はおはぎのうえにシートを乗せる作業。最後はきのうと同じく、おはぎのしこみ。

4日目

流れてくるどら焼きをすくい、番重に乗せるというのがきょうの作業。しかし、それはすぐに終わり、おはぎのケースを閉じたり、袋詰めされたものをテープで封したり。あるいはラベルの折り返したりと、次々にやることが変わる。最後はきのうに同じくおはぎのしこみ。
夜食は、サラダ、味噌汁、ライス、豚肉と野菜のみぞれ煮、鮭の柚子(ゆず)風味焼き。

5日目

この日の作業は、おはぎに添える葉っぱ折り返し、ごまのまぶし(腰が辛くて一番やばかった)、あとはおはぎをケースに乗せるのと、そのケースを閉じる作業。
夜食は鯖の照焼、白菜の中華炒め、サラダ、ライス、味噌汁。

雑感

山パンでさせられる作業は、すべてロボット化が可能だと思う。だけど、人のほうがロボットより融通がきくし、何より設備投資がいらない。だから、山パンは人を使うんだろうなあと。