『恋の罪』

いくつか見てきた彼の作品と比べると、エンターテインメントとしての質はやや落ちる。しかし、終わってみるとうまくできたストーリーだなと思った。
たとえば、最初にいずみの友だちがやってくるシーン。夫が外で執筆していると聞いたときに示した反応は、あとできっちり回収される。あるいは美津子がいずみを知って接近していたことも……。
全体に目を向けると、終盤いずみが路上に立つようになるところなんかは輪廻の物語だろうし、刑事が最後に駆けていくシーンは日常から抜け出そうという欲求だろう。そうして、様々な女性の姿を描いた作品ということになるのかね。
個別の部分について書くと、序盤、夫がドアを開けて家を出るシーンを繰り返し、変化を出していくのはうまかった。
美津子が母に対して「クソババア」という場面や、魔女っ子クラブの電話対応が媚び媚びなあたりには、『愛のむきだし』に通じるユーモアを感じた。

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横浜ブルク13(シアター11)にて。ここはチケットを端末で購入するのが基本らしい。共通鑑賞券はもちろん有人窓口での引き換えだが、ほとんど並ぶ必要がなかった。うれしい。