橋本紡著、重松清解説『流れ星が消えないうちに』(新潮文庫、2008/7)

主人公は奈緒子という大学生。以前は加地君と恋仲だったのだが、彼は異国で事故死。現在は、彼と友だちだった巧君と付き合っている。本書では、そんな奈緒子をめぐる心情のあれこれが描かれる。
感想としては、薄っぺらいなあという印象。文章から感情が欠落している。だから、読者としてはストーリーに入れず、ただ客観的に物語を眺めているだけにとどまった。

7月6日付日本経済新聞朝刊

「活字の海で」という欄より。

リストの顔ぶれは毎年大きく変わる。新潮文庫の百冊のうち、今年は三十四冊が入れ替わった。『坊っちゃん』が消え、重松清『きみの友だち』が加わる。このめまぐるしい新陳代謝をみると、「不朽の……」という決まり文句が時代遅れに思えてくる。

漱石重松清を並べることで、「新」と「旧」を強調しているようだが、この書き方はせこい。
2003年以降、「新潮文庫の100冊」における重松枠は2冊。そのなかでタイトルが入れ替わっているだけであって、別に漱石の分が重松清になったわけではない。