岡本太郎著『人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。』(イースト・プレス、2007/12)

『にらめっこ』(番町書房、1975/10)を改題・再構成したもの。分類としてはエッセイ集で、内容は多岐にわたる。タイトルは書中「骨折の記」の冒頭文から取られている。
彼について、「太陽の塔」ぐらいしか知らない私だが、岡本太郎入門として楽しめた。最初のほうは、両親についての文章で、これがちょっと硬い。しかし、留学時代の女性遍歴のところまで読み進めると、楽しくて楽しくて。とくに「青春の森」という一編など、あまりにドラマチックで、フィクションではないかとすら思えてくる。
気になったところふたつ。
「外面は酒脱飄逸」(p.30):「洒脱」か。
「この文豪がそんな風な言い方をしたのもわからないでははい」(p.234):「ではない」だろうな。