ゲッツ板谷著、重松清解説『ワルボロ』(幻冬舎文庫、2007/7)
単行本版以来、およそ1年ぶりの再読。文中の比喩までも、ことごとくワルな雰囲気になってるのがすごい。単に勢いだけで書いてねーなということに気づかされる。
気づいたといえば、もうひとつ。この文庫版だと、帯は映画の宣伝になっているのだが、単行本では違う。まさに『ワルボロ』のころのコーちゃんたちの写真が使われているのだ。そこで、裏表紙側のキャプションはこうなっている。
「写真●一番左小佐野・右から二番目キャーム・右から六番目コーちゃん」
そういえば、そうだったなあと思い出す。文庫版で「小田嶋」という名前のやつが、単行本では小佐野だったことに。そのほかにも、ビデちゃん(単)→メギちゃん(文)、カッチン(単)→ドッチン(文)といった変更がなされている(キャームとヤッコはそのまま)。
そうした変更は仲間だけではなく、ほかの中学のやつにも及び(例:ビーバー→フィーバー)、単行本で登場した豚ピックという人物に至っては、存在が消される(したがって、作中のエピソードがいくつか落ちている)。そこらへんを精読してみるのも、面白いのかもしれない。