中脇初枝著、重松清解説『みなそこ』(新潮文庫、2017/5)

ひかげと呼ばれる部落を舞台にした小説。さわとひかるはそこで育った同級生。お互い大人になって、子どももできた。さわは夏休みを過ごすべく、娘のみやびを連れて実家のあるひかげに帰る。そんな夏の日々が描かれている。
うまいなあというのが一読しての感想。帯には「禁断の純愛小説」とある。ひかれあうものたちは今後どうなるか。それは物語の大事なところではあるが、同時に一部分でしかない。
さわが続けてきたピアノは、間違いなく現在のさわを形成するものだし、ひかるとの関係もそう。そしてなにより、互いが顔を知っている部落という境遇でなければ、この物語は成立していない。
だから、帯の「純愛小説」は少し安易かなと思う。
平易な言葉で書かれているものの、中身はすごく重厚な作品だった。
重松清の解説は『波』からの転載。ウェブでも読める。
http://www.shinchosha.co.jp/book/391002/

『火曜日のルビィ』

昨年8月発売予定だったが、またもや延期されたようで現在は今年8/23になっている。