「私は見た! 平成29大事件の目撃者」(『文藝春秋』2月号)

各年ひとつの事件を識者が振り返る特集(基本、各2ページ)。
平成5年「Jリーグ開幕 ジーコのツバ吐き事件」*1に興味をひかれて読んだが、ちょっとタイトル詐欺的なところがあった。
内容としては、松木安太郎が開幕直前の監督就任から優勝までの舞台裏を語ったもの。ツバについては、厳しいゲームのなか「ジーコのあの行為で『勝った』と思いました」と書かれているだけ。
この件にかんして、三浦知良は『Dear KAZU』でピッチにいた者の立場から言及している。
では戦況を見つめていた監督はどうなのか。PKのジャッジは妥当と思うのか。あるいはゲーム全体として、有利な笛を感じていたのか。
そういうことが読みたかったのだ。
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特集全体としては、平成29年の「退位法成立 スクープ記者の重圧」、それから平成26年の「朝日新聞前社長初告白『W吉田誤報』の内幕」は特に読みごたえがあった。
前者はいつ報じるか、どう報じるべきかを苦悩した日々が明かされている。しばらくは朝刊をチェックして、抜かれてないのを確認してから寝る日々だったそう。
後者はこの特集で唯一3ページ。池上コラムの件について、当時より少し詳しく情報が出ていて、どういう流れのもとに見合わせとなったのかがうかがえた。

*1:取材・構成二宮寿朗。