「火曜日のルビィ」(『週刊アサヒ芸能』連載)

国会図書館でコピーをとったのが2012年。その後いっさい読まずにいたが、単行本になるので手をつけた。
ちなみに本だが、当初は昨年11月発売予定だった。それが今年3月に変わり、いま確認したら8月と延期を繰り返している。
掲載は『週刊アサヒ芸能』2005年末合併号から2006年8/3号。全30回。各回5ページというのは、週刊誌にはよくあるスタイルだろうか。
主な登場人物がふたりいて、まずはタイトルにもなっているルビィ。彼女は女子高生、だった。
もうひとりはダザイ。彼は小説家、だった。
過去形なのはふたりとも死んでいるから。ルビィいわく、二十歳まえに自殺したものには義務が課される。それは現世に戻って人命救助をすること。
ルビィの仕事にはダザイも同行。死ぬ人を思いとどまらせるべく、あの手この手で働きかけるというおはなし。
重松の熱心な読者ならば、「なぎさの媚薬」と類似しているように見えるかもしれない。あれはむかしに戻って人生を変えにいくつくりだった。
私としては、同時期にこれを書いていたのが不思議。あるいは同時期だからこそ、なのか……。
ちなみに官能小説ではない。ただ、最初に助けるひとりがデリヘル嬢なので、性描写は出てくる。
読了して感じたのは、筆者の自殺に対する思い入れ。何が人を自殺に向かわせ、何が救いとなるのか。あるいは残されたものにどんな影響を及ぼすのか。媒体に合わせた文体ながら、熱はしっかりと伝わってきた。
本を出すにあたっては、手直しがかなり入るだろう。10年以上まえのものだし、分量的にも少し足りてない気がする。