森内俊之著『覆す力』(ニコニコ静画版、2014/2)

長くなるが購入の経緯を書くと、私は2013年末にあった電王戦リベンジマッチの観覧に行った。しかし、当選者をかなり多めに出していたため、中に入れない人が続出。お詫びとして、当選者全員に1000ニコニコポイントが付与された。
ポイントは使わないままだったが、期限切れにするのはもったいない。そこで、本書を購入した次第。

        • -

ニコニコ静画について。
・今回はPCで読んだ。見開きで2ページが表示されるスタイル。レイアウトは紙の書籍とは別物。紙が219ページなのに対し、こちらは363ページある。
・本書はコメントの投稿ができない仕様だった。
・途中で中断した書籍は、「続きから読む」を選べる。
・書籍右下に自分のメールアドレスが表示される。コピー対策だろう。
・全体的にはサクサク感があってよかった。PCで本を読むのも意外といい。

      • -

本の内容だが、まず「はじめに」で竜王・名人の2冠になったことが書かれる。あとはタイトル戦での将棋や羽生の存在に触れながら、来し方を振り返る。
無冠となったいま読むと寂しいものがある。全体としては、タイトル戦での将棋の内容を細かく知っているほうがより楽しめそう。そうでなくとも、所々にいい言葉や面白いエピソードがあって将棋ファンなら満足。
言葉のほうでは、このあたりが印象に残った。
「昨日の自分を越えることができれば、それは一つの達成だと言える」(p.15)
「敗戦は勝利のための必要経費」(p.324)
エピソードのほうは、なんといっても小学生名人戦の話が笑える。NHKのスタッフから「リハーサルどおりに」との指示を受けた幼き日の森内。なんと将棋の進行までリハーサルどおりにしてしまったのだという……。