「ザ・ノンフィクション そこに愛はあるのか」

2010年から13年にかけて、八王子実践高校女子バレーボール部と菊間監督を取材した映像。
体罰と厳しい言葉で追い込む指導、それに応える生徒。
私は監督をただの老害として見た。生徒が練習するコートサイドで煙草を吸うし、ともに暮らす寮でも同じ。さらには卒業生の同窓会でも……。とんでもないヘビースモーカーである。その後、ガンで監督業を続けられなくなったのは、生徒の健康に気を使えないものへの退場勧告と捉えたい。
近年、指導者の暴力が問題になってなお親が支持する構図が見られる。本作に、そのできかたがうかがえた。部は練習を公開している。見学する親がいても、菊間の厳しい追い込みは変わらない。最初は驚くだろうが、何度も見るうちに慣れが生じるのではないか。そうして共犯者が作られる。
もうこの手の映像はこりごり。すぐれたトレーニング方法やその合理性が語られる、そんなバレーの練習が見たい。
語りは有村架純。セッター佐野遥香を「私」と1人称にしている。11/16放送。