原武史著『思索の源泉としての鉄道』(Kindle版、2014/11*1)

初出は『本』の2011年3月号から2014年7月号。時期的に、震災や三陸鉄道の話題が多い。
全体的な印象は、シリーズ4冊目ということもあり金太郎飴。ベースとなる考えが不変だから、何を書いても予想どおりの展開というか……。
そのなかで新発見は、BRTの記述。鉄道ではない形の復旧を否定的にとらえるわけだが、どうやらバス自体も好きではないようだ。座席が前方固定だから、会話がうまれない、鉄道と違って公共圏がないに等しいとBRTを評している(Loc2009of2775)。
バスだって、横の人と話すことはいくらでもあると思うのだが……。会話がないならその原因は前方固定ではなく、乗車率だろう。
面白かったのは、高千穂とベトナム。初出時とズレが生じた場合には後注が入る。高千穂では掲載時に無理だと説明を受けたスーパーカートの延長が実現(Loc1304of2775)。ゆくすえが見事に正反対で面白い。初出で半分ほど読んではいたが、状況が変わると本を買うありがたみも増す。
ベトナムは、車内の弁当売りがその場でご飯やおかずを盛ってくれて温かい(Loc2314of2775)のがいいなあと。日本でも、業者を競合させればこんなふうになるのだろうか……。