森博嗣著、重松清解説『ブラッド・スクーパ The Blood Scooper』(中公文庫、2014/4)

とある侍が「宝」を守るべく襲撃に立ち向かう、というのが大ざっぱなストーリー。しかし、本作の魅力は全体の筋よりも、主人公の侍にある。山から出てきたため、他者には当たり前のことに不案内。そこでなされる考察だとか、ものごとを知っていく過程に読みごたえがある。
面白かったので、積まずに読んでおけばよかった。
なおKindle版が出ているが、そちらは文庫解説がつかない模様(サンプルの目次部分を見ると)。

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(p.379)作中に出てくる宿屋の名前、当初は「カギ屋」だったのに、エピローグでは「カド屋」になっている(p.379・p.394)。わざわざ名前を変える理由もないから、誤植なのだろう。検索してみると、親本の段階で既に同じ指摘があった。