『それもまたちいさな光』(Kindle版、2012/11)

オール讀物』掲載後、文庫オリジナルで刊行。TBSラジオでのドラマ化が前提にあったようで、ラジオ番組をめぐって交差する人々の話になっている。
感想としては、野島と珠子の関係性が『私のなかの彼女』で用いられた設定と似通ってるなあと。
「野島恭臣は、ワンルームマンションに住む珠子が好きだったのだ」(No.347)
「なんにも知らない子どもに、あれこれ教えてあげて、わーすごーいって言われていたいんだよ」(No.2165)
角田さんの近ごろの興味は、こんなところにあるのかな。
あとは「役に立たない話しかしない」ラジオパーソナリティについて。話は役に立たずとも、どこかで誰かの助けになっている。小説もまたそんな存在でありたいという願望を私は読み取った。