『早稲田学報』10月号

とても面白く読んだ。特集タイトルは「祭のワ」で、元総長・奥島孝康のインタビューが4ページ。早稲田祭革マル派に操られていたことの詳細や、中止からの復活を振り返る内容になっている。
続いて「早稲田祭の歩み」という記事が4ページ。ここでもやはり革マル派の操りから現在に至るまでが綴られていて、元総長の話をフォローするような形になっている。
この話題はタブーだと思っていたが、時間の経過で状況も変わってきたのだろうか。奥島の話で興味を引いたのが「革マル派は、早稲田祭を利権として使っていた。利権をつかんだ者はそれを離さない。例えばスーパーフリーね」という部分。こういう文脈で見ると、90年代から2000年代はつながるんだなあと。

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話は少し変わるが、以前奥島のことを書こうと思って、タイミングを逃していたので、この機会に……。
早実初等部の入試面接で、奥島自身が高額の寄付金を要求する問題が2004年に発覚した。とある教員が「(奥島は)ハメられたのではないか。さすがに自分からそんなバカなことはしないだろう」という見方をしていて、私もそれに同調的だった。
ところが、奥島は根っから要求を正しいと思っていたようだ。中央大の付属中学で、理事長の知人の孫を不正に合格させる問題があったが、下記の日経記事*1はその発覚からおよそ1ヵ月後のものである。

「日本でも社会や大学に貢献した人の子弟を優先してもいいと思うが、現実は厳しい」。早稲田大の奥島孝康元総長も入試に違和感を抱き続けてきた一人だ。「欲しい生徒を選ぶのではなく、落とす生徒を決める仕組み」と言い切る。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47618940U2A021C1MM8000/(会員限定記事)

「社会や大学に貢献」とはぼんやりした表現だが、要は多額の寄付だろう。こんなことが推し進められたら、親の所得格差がダイレクトに学力へ反映される悲惨な社会になりそうだ。奥島は利権に群がろうとする自身の姿に気づいてほしい。

*1:2012/10/24、大学開国 第5部 入試は変わるか(4)より。