『埼玉西武ライオンズ 黄金投手陣の軌跡 B.B.MOOK953』(ベースボール・マガジン社、2013/7)

巻頭は渡辺久信インタビュー。いまさら彼の話に新しいネタはないだろうと思っていたが、予想は裏切られた。特に興味深いのが、「肩は消耗品」論について語った部分。
「ウチは『若いうちは完投を目指せ』という指導をしています。(中略)肩は消耗品とか賛否両論はあるかもしれないけど、僕は長く野球をやってほしいと願うからこそ、若いうちに完投することを体に記憶させておかないといけないと思います」(p.9)
要はむかしの充電池みたいな捉え方なのかな。半端な充電を繰り返してると、そこがマックスになってしまうという……。これだけ明確な発言をしてくれると、ドラフトにかかる選手は助かるよな。消耗品論者は何も迷わずライオンズを避ければいいのだから……。
それ以外では、プレイヤーとしてトム・シーバーを参考にしていたのと、似たタイプの遠藤(大洋)をよく見ていたというところが初耳。
森繁和のインタビューも読みでがあった。V9巨人のエキスが西武に注入され、そして今また、黄金時代西武を源流とした指導者・選手が球界を支えているというくだりは読んでいてじんわりする。
あとは根本さんにいわれたという言葉が印象的。「ほかのチームの選手もよく見ておけ。面白い選手がいたら、スカウトに言うんだぞ」。以前、とある2軍投手コーチがライオンズの攻撃中にベンチをはずしていた。私はこれではいけないと思う。たしかに投手コーチの仕事とは無関係かもしれないが、攻撃中にも何かのヒントが転がっている可能性があるのだ。目前の野球を見ずに済ますのはもったいない。
誤植
(p.45)「和歌山・箕嶋高で、甲子園の春夏連覇」→箕島
(p.112)通算セーブのランキング中、シコースキーは2013年に在籍しているのに「※」が付されていない。結局、刊行から1ヶ月後にウエイバー公示されてしまったが……。