『オン・ザ・ロード』

いったい何年待たされたんだろう。ふと思いついては「公開まだかな」と検索していたが、あまりにも動きがなく、ここ2年ほどは忘却のかなただった。
以上の経緯があるので当然、期待はしていた。そして、それに見合うものだった。
ドラッグ、女といった要素が散りばめられたロードムービー。時の経過とともに男たちは大人になる。そうすると、枷(かせ)ができていく……。物語としてはありふれている。
では平凡なストーリーのなかで、何が描かれたのか。私が思うに、饒舌(じょうぜつ)と沈黙、多忙と暇の振れ幅だ。
たとえば酒場に集う面々が「alive」と叫ぶシーンがある。そうして生を実感したところで刹那のこと。孤独な時間はやってくる。永続的な状態などないのだと伝えるかのようで、私は恐怖を感じた。
また個人的な話だが、寂しくも思った。いまの自分には、無鉄砲な旅はできないだろうなと考えて……。だから逆に、こういう映画が好ましく見えるのかもしれない。

      • -

TOHOシネマズ川崎(スクリーン2)にて。混むことを見込んで、ネットで事前購入。やはり満員だった。
それもそのはず。きょうは映画の日。さらに本作は上映が関東で4箇所(東京2・神奈川2)と少なく、川崎は1日2回だけ。そのうち1回は終了が0時過ぎだ。