『スポーツアルバムNo.30 栗山巧』(ベースボール・マガジン社、2012/5)

栗山というとまず印象的なのが、インパクトで口をふくらませていること。本書の写真でもその姿が堪能できる。堪能するものなのかはわからないが……。
そしてまた、インパクトのときに体勢が崩れない。しっかり振り切ることを重視するがゆえ、左打者ながら内野安打が少ない(p.23)のだろう。

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感想としては、神戸時代を知ることができてよかったのと、あと性格的には優等生な反面イタズラ好きで、そのイタズラは意図してやってるのがわかった。
いくつか気になったところをピッカップしてみる。
(p.15)育英高校を選んだ理由のひとつとして、1993年全国優勝のインパクトをあげている。同じ左の大村直之がガンガン打っていたと。憧れとまではいかないんだろうが、この手の話で栗山が具体的な選手名を出すのは珍しいかもしれない。
(p.19)栗山の考える「投手が野手を信頼する基準」は「その打球に対して本気でチャージをかけたかどうか」だそう(斉藤一美の文章より)。今年前半も、それはかなっていなかったように思う。ランナー2塁のレフト前ヒットで、あきらめが早い。
(p.42)武内晋一が地区の少年団リーグでライバルだったそう。私には意外な名前。武内といえば、早稲田で東京ヤクルトだから、関西とつながらなかった。

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本書の構成でまずいと思うところ。
(p.22)「一番打者として犠飛6を記録していたことにも注目したい」というのは、犠飛になりうる場面の数を示さないと説得力に欠ける。
(p.52)4/5の相手投手が空欄になってしまっている。