『水曜日のエミリア

三軒茶屋中央劇場にて2本立て。建物は古いながらも格式が感じられ、いいあんばいだった。早稲田の1号館とか3号館*1みたい。そんな館内にあって、券売機だけはなぜかタッチパネルの新しいものだった。

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さて『水曜日のエミリア』だが、期せずして面白かった。恋の争い、子の突然死というあらすじのキーワードは珍しくないのだが、テンポがいいのと、音楽の付け方、あとは単純な映画になってないところに好感をもった。
単純でないというのはつまり、あるエピソードをきっかけに今までの関係ががらりと変わるみたいな、そういうわかりやすいことをやってない。登場人物たちの間柄は、じわりじわりとだけ変化する。そこにリアルさを感じる。
海外の家族モノでここまでじっくり見られるタイトルは、すぐには浮かばないな。

『バビロンの陽光』

舞台はフセイン失脚後のイラク。ばあちゃんが孫といっしょになって、兵士の息子を探す旅に出る。
ロードムービーなので、期待を裏切らず楽しめる作品だった。私としては、やっぱり東日本大震災と結びつけて見た。遺体安置所にいてほしいような、そうでないような心持ち。発見できないまま月日がたつと、探し疲れて気が滅入る……。そういう不幸はなくしていかなければいけないよなと、月並みながら思った。
パンフレットに掲載されている監督のインタビューでは、撮影にあたっての困難が語られている。衝撃的だったのが、イラクでは2003年以降たった3本の映画しか撮られていないということ。もっともっと、この国の物語が見たい。はたして、そうなる日がくるのかどうか。

*1:検索してみたら、3号館は今年5月に使用を停止して工事が始まったそうで……。