『よなかの散歩』(オレンジページ、2011/4)

エッセイ集。食べ物の話が多い。個人的にひっかかったのは、サークルのたまり場だった店で供されるカルボナーラの話(p.15-17)。
早稲田でカルボナーラといったらあそこなわけだが、私はこれを食わずに卒業したことをすごく後悔している。知人にそうもらしたら、「別に(卒業したことなど関係なく)いけばいいじゃないですか?」と返されてしまったのだが、学生として食うのと、ただ単に食うのではまったく意味合いが違う。
でも、閉店したら食うことさえかなわなくなるわけで、それを思うとやはり食っておきたい気持ちが出てきたのだった……。

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ところでこの本、帯には「生きていく上で役にたつようなことはいっさい書いてありません」との著者の言葉。役にたつかは別として、私には心に置いておきたい箇所があった。ボクシングジム通いについてのくだりだ(p.80-82)。
「目標がないと長続きする」「目標がないから挫折がない」
何も目指さないというのは、ひとつの見識であるなと思った。