石井光太著『神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く』(新潮文庫、2010/5)

自分にとってこの本が震災前後になった。最底辺には想像以上にひどい現実があり、読み進めるのがつらかった。特に終盤、警官とやりあうくだり。一方、読んでの収穫は世界各地で規範もさまざまだとわかったことかな。
著者については、会話文の文体に対するこだわりが印象的だった。たとえば、第4章のあるセクションでは、男性の一人称に「オラ」を使っている。翻訳で「オラ」はなかなか出ない発想だ。