中森明夫著『アナーキー・イン・ザ・JP』(新潮社、2010/9)

面白かった。17歳の高校生シンジに、大杉栄が憑依する。そのアイデアが小説の核なのだが、大杉だけではなく著者自身ものりうつっているかのようだ。それぐらい随所に中森明夫があふれてる。たとえば、インターネットを「インターナショナル・ネットワークの略では?」と大杉が尋ねるくだり(p.47)。こういう言葉あそびが大好きなんだよな、中森さん。あるいは「ブルー・ストッキング!」なんてところ(p.65)もあるけどね。
そんなふうに楽しく読みながら気づいたのは、意外と自分、中森明夫を知ってるなあということ。著書は読んでないのに。