田牧大和著、高木秀樹解説『花合せ 濱次お役者双六』(講談社文庫、2010/12)

人騒がせながらも憎めない歌舞伎役者・梅村濱次。数々の騒動が彼の周りで起こる……。
時代小説は苦手なのだが、これはよかった。子ども向けアニメのような明快なキャラクター設定で読みやすく、書いているのも不快感ゼロの気持ちいい話だけ。エンターテインメントであることを意識しつくした作品といえる。
また、歌舞伎を知らない読者向けに書かれた解説もいい。かゆいところに手が届く感じ。

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第2回小説現代長編新人賞受賞作。帯によると「シリーズ化決定」「現在執筆中」。プロフィールには、デビュー後「3年間で5冊の単行本を上梓するなど精力的に執筆を続けている」とある。たしかに新人賞を取った後、3年で5冊も出しているのは珍しい。