佐野正幸著『新版 1988年10・19の真実』(主婦の友文庫、2010/5)

かつて近鉄百貨店社員にしてバファローズ応援団だった著者が綴る10・19。川崎へ向かう電車の様子、タクシーの行列、懇意にしていた球場係員の対応……。当事者だからこそ書けることの数々。面白くないわけがない。
これまでも10・19についてはさまざま見聞きしてきたが、本書で意外なことを知る。ダブルヘッダー第1戦に伊良部が登場しているのだ(p.236)。といってもピッチャーではなく偵察要員なのだが。

堀田純司著『スゴい雑誌 「業界誌」の底知れない魅力』(講談社文庫、2010/7)

電子書籍AiR』の編集者としてメディアに露出している著者の文庫オリジナル。
本書には10の「業界誌」が取り上げられている。各編集長にインタビューをしているが、それをべったり文章に起こした本ではない。かといって雑誌の紹介をするのでもない。裏表紙のフレーズを借りると、「インタビューを通じて、日本の”いま”を描き出す」のだ。雑誌から世相を見るという感じだろうか。
ぶっちゃけた話、そんなに変わった姿は浮かび上がってこない。帯には「『ビジネス書』兼『ウンチク本』」とあるが、どちらにしても不完全な仕上がりで、買わなきゃよかった1冊。