近藤正高著『私鉄探検』(ソフトバンク新書、2008/6)

8つの私鉄を特に取り上げ、沿革やら何やらを紹介した本。アマゾンで「埼玉西武ライオンズ」を検索していたら、第1章の「西武鉄道」の部分がひっかかった。
通読しての感想は、よくまとまっていて、概観にいいなということ。だけど、著者オリジナルの考え方などはほとんど書かれていない。そのへんを物足りなく思う人もいるのかもしれない。
あとは、西鉄を読みたかった。これをはずした理由はどんなところにあるんだろうか。

メモ

刊行時の著者インタビュー:http://www.sbbit.jp/article/cont1/16775
(p.19)「スマイルトレイン」って、顔のように見えるがゆえの名称だったのか。
(p.24-25)堤義明は手塚さんにレオの使用許可をもらえなかったら、ライオンズの名前を変えようと思っていたという。著者はそのことによって「かろうじて西鉄時代からの連続性は保たれたという皮肉な見方もできる」としている。
(p.30)手塚さんの「虫プロ」は「蒸し風呂」からきている。
(p.41)東伏見アイスアリーナにて1997年、日本初の施設へのネーミングライツ販売。
(p.44)としまえんは豊島区ではなく、練馬城をおさめた豊島氏が由来。
(p.46)西武ドームは「従来の野球場の椅子よりも若干広い椅子を採用」。へえ。いまでは窮屈な感もあるけどね。「柱や柵など観客の視線をさえぎるものを一切排除するなどといった工夫は、堤の好きなアメリカンフットボールのスタジアムが参考にされたといわれる」。ほお。たしかに西武ドームには「見切れ」がないね。
(p.134)つくばエクスプレスは他社と乗り入れしない。そのことは沿線独特の文化を創出しうるという著者の指摘。
(p.201)橿原神宮について、1888年に地元の有力者が創建を願い出て、「1990年」に完成とある。本当に102年も経ってたら大変だよな。実際は2年後らしい。
(p.222)宝塚音楽学校予科生は、登下校時の荷物を阪急百貨店の袋で持ち運ぶ。
(p.274)いままでは私鉄の側が沿線文化を築いてきた。これからは沿線のリアリティを私鉄に反映させる必要があるという本書の一応の結論。