田中弥生解説『おやすみ、こわい夢を見ないように』(新潮文庫、2008/6)

7作のつらなり・その他については、解説が非常にわかりやすく書いている。ただしあくまでも解説であって、立ち読みしている人をレジへ向かわせる力はない。
読中ひとつ気になったのは、「スイート・チリソース」で図書館に現れる浮浪者ふうの女と、表題作に出てくる公園のそれとは共通なのかということ。
単行本刊行時のインタビュー(『小説新潮』2006年3月号)を読んでみた。そこで角田さんは、1編目の「このバスはどこへ」で殺意をつぶやく女も含めて、同一人物にしようと思ったが、できなくてばらしたと答えている。ふーん。
あとインタビューのなかでは、「角田さんは圧倒的にバス派では?」との指摘が面白い。