いしいしんじ解説『恋するように旅をして』(講談社文庫、2005/4)

『恋愛旅人』を改題しての文庫化。奥付の初出一覧を見ると、前半はほぼ書き下ろし。後半は雑誌・新聞に掲載されたものになっている。
前半は以後の旅ものではあまり見ない軽妙な話が多い。とくに異国で性交渉を迫られ、いかように逃れたかを記す「旅のシュールな出会い系」は興味深いものだった。
後半は長めの文章が続く。いしいしんじの解説は「角田さんにとって、散文をつらねていくことも、まちがいなく散歩の、旅の一種に違いない」という部分(p.226)にふむふむとうなずいた。