『波』11月号

佐藤寛子さんによる『再会』の書評「グラビアアイドルのヨムヨム生活・特別篇 きっと再会できるさ、と重松さんはささやく」(全2ページ)が掲載されている。
下手な作家の解説より、よほどしっかりしている。
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/407510.html

『再会』(新潮社、2009/10)

初出時に読んでいたのが、3つめの「永遠」と4つめの「チャーリー」。それぞれ加筆・修正が施されていて、「永遠」は捜し人が見つかるかどうかの結末が異なっている。『yom yom』で読んだ人も、また楽しめるようにというサービスか。
「チャーリー」は、途中にあったイカダレースの話が大きく削られ、先生の失敗談を叔母さんから聞かされるという流れになっている。このほうが自然な展開で、うまい修正だと思う。いったん作った話を一部分だけ差し替えるというのは、やさしくないことだ。
そんなところを評価しつつも、全体を見ると、重松清は同じ(過去に使った)ネタに頼りすぎだなとあらためて感じる。ものをくれる友だち、田舎の不出来なおじさん、受験するしないでのすれ違い……。