雨宮処凛著、高橋源一郎解説『バンギャル ア ゴーゴー 1-3』(講談社文庫、2009/8)

万引き、家出、中退……。読書感想文の課題図書とかには絶対になりえない。だけど、こういう本が必要だっていう人は間違いなくいる。そう思わせてくれる作品だった。
物語は、ヴィジュアル系バンドの追っかけをする女の子たちを中心にすえて進む。私が知らない世界だけに、情報としての面白さはもちろんある。しかし、それ以上に本書を魅力的なものにしているのは、主人公「えり」の内面がしっかりと書かれていることだ。親の無理解に対する反発、漠然とした将来の悩み。そういったものが濃密に表現されることで、すぐれた青春小説となっている。精神的に幼い自分は、共感するところがとても多かった。