中西太著『西鉄ライオンズ 最強の哲学』(ベースボール・マガジン社新書、2007/11)

三原監督の教えをピックアップしたアドバイス集的な本。西鉄全盛期を振り返る読み物としても十分に楽しめる。
現役時代を知らない私にとって、中西さんといったら、岩村の師匠なのだが、彼に何苦楚を説いたときの話も出ている(p.108-)。
以下、書中に記されている三原ノートから、印象に残ったところをふたつほど。まずは勝利投手について。
「記録上の勝利投手はなんの意味も持たない。(中略)投手の価値はその投手の労働の量、つまり投球回数とその投手の防御率、つまり労働の質で決められるべきである」(p.203)
いまは投手が分業制になったとはいえ、まったくその通りだと思う。
もうひとつ。これは感心というより、自分に響いた言葉。
「積極こそ前進のすべてである」(p.103)
これは「ボールをおそれる選手はいいプレーヤーになれない」と続くのだが、野球のみならず、すべてに通じると思う。
2008年1月31日第1版第2刷発行。

奥山景布子『源平六花撰』(文藝春秋、2009/1)

「落日の平家をめぐる女人たちを華麗な筆致で綴る第87回オール讀物新人賞受賞作収録の処女短編集」(帯より)。
全6編の独立した短編集。時代小説は苦手なのだが、これは話がとても明確で読みやすく、作品世界を楽しむことができた。