朝井まかて著『実さえ花さえ』(講談社、2008/10)

第3回小説現代長編新人賞激励賞受賞作。
新次とおりんの夫婦は、種苗屋をやっている。そんな彼らが、品評会への出品をしたり、依頼で庭をしつらえたりといった折に起きるエピソードが描かれる。終章も含めて全5章からなる形式だが、連作短編のような読み方ができる。
時代小説はなんとなく苦手意識があるのだが、これは本当に楽しく読めた。人物の描き方もいいが、より感心したのは全体の構成がしっかりしていること。