ワタナベ・コウ絵、ツルシカズヒコ文『ポチ&コウの野球旅』(知恵の森文庫、2004/3)

パートナーのふたりが、野球観戦をしながら旅した記録。大半はワタナベ・コウの絵で、時おりツルシの文章が挟まれるという形式。観るのは、最初のうち、プロ野球が多いが、後半は高校野球にスイッチする。

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野球というのは、男くさいスポーツで、ゆえに、野球本も男くさくなる傾向が強いように思う。だが、本書は違う。イラストの描き手が女性というのもあるが、何より、絵そのものがとてもキュート。読んでいて、ほんわかした気分になれる。
もうひとつ、本書は「使える」1冊でもある。とりわけ、ワタナベ・コウの手になる「球場周辺MAP」がすばらしい。球場へ向かう道すがら、どこでおいしい食べものを調達できるのかが、ぱっと見てわかる。地方球場が楽しくなること請け合いだ。

鴻巣友季子著『孕むことば』(マガジンハウス、2008/5)

エッセイ集。書中の編集者のことばを借りれば、「縦軸が子育て、横軸が文学、斜線に体のことなどちょっと女子トーク、という感じ」で書かれている。
よくある題材なのだが、鴻巣さんならではの視点で楽しませてくれる。今後、子どもが成長するにつれ、また新たにことばをめぐるエピソードが出てくるだろう。続編を期待したい。