『ブルーベリー』(光文社、2008/4)
短編集。2003年から2004年にかけて『BRIO』に掲載された連作(「エスキス'80」)の単行本化。
連載時のタイトルからわかるように、80年代を描いた作品が中心。つまり著者が学生だったころだ。
受験、地方からの上京、親友との出会い、安くない店で飲むこと、コインランドリーでの洗濯……。不自由だったけれど、心は満ち足りていた。
しかし、後半からテイストが若干変わる。思うようにならないのをどうともできない。そんなやるせなさが描かれる。
区切りは何だろう。80年代の始まりと、終わりか。あるいは、学生時代の始まりと終わり、かもしれない。