不正行為をした記憶

あれは中学2年だったか。国語の問題にはよく、「本文における筆者の主張は何か。15字以内で抜き出せ」といったものがある。
もちろん抜き出す箇所は重要なのだが、同様に頭を悩ませることがある。抜き出した末尾に「。」をつけるか否かだ。いま考えれば、そんなこと、読解能力と関係ないんだから、好きにさせてくれればいいと思うけどね。

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試験が返却され、解説が始まる。話によると、その問題には「。」が必要だった。私はつけていない。しかし、採点はそれにもかかわらず正解になっている。
まあ、先生が間違えたのだろう。ラッキー。当然のことながら、自分から点数を下げるような申告はしない。
と、ここでトラブル発生。隣席のやつ、私の答案をのぞきこむや、なんとリークしやがった。「先生、○○の答案、『。』ないのに×ついてませんよ」と。
あせる私。
当時、答案を返す際は赤ペンしか出してはいけないことになっていた。しかし私の使っていたボールペンは、黒・赤の2色。
私はやった。
先生がこちらの席へとチェックしにくるまでの一瞬で、黒を使い、「。」を書き足した。小さく、小さく。だって、大きく書いたら、やつに「さっきはこんなのなかったぞ」といわれるかもしれないし。
結局、ミッションは無事完了した。
「小さいけど、ここに『。』あるじゃん」先生が確認していう。
「あ、こんなのあったんだ。ごめん」と隣席の密告者。

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いま、思う。私のおこないは、飲酒運転を隠すために水をがぶ飲みするのと、変わらないなと。
いいわけをするなら、テストは先生がちゃんとチェックしないのがいけないんだ、というところかな。