木村公一著、重松清解説『裏方 プロ野球職人伝説』(角川文庫、2008/3)

タイトルが示す通り、裏方についてのノンフィクション全7編。加えてあとがきでは、通訳の趙南雄についても書いている。
かなりの期待をもって読み始めたが、それはまったく裏切られず。すばらしい1冊だ。
まずスポットライトを当てた職種がいい。審判、グラウンドキーパー、グラブメーカー……。そういう仕事があることは知っているけど、具体的に何をしているかとなると曖昧。多くの野球ファンはそんな感じではないだろうか。本書によってそれを理解することで、野球の見方にもいっそう深みが出るのではないかと思う。
もうひとつ。書き方がいい。人物を扱ってはいるのだが、生涯を取り上げるようなことはしない。描かれるのは、限られたエピソードのみ。だからスピード感がある。ページを繰る手はとまることがない。
解説によるとこの著者、原作を担当した漫画がいくつかあるとのこと。機会があれば、そちらも目を通してみたい。

発見。ちょっくらぶ

「7月の編集長・重松清さんへの質問箱オープン」とのこと。
https://k.dokawa.jp/webapp/index.do

新刊

流星通信によると、4月末に新刊が出るそう。ラジオ「マイ・ストーリー」と関係あるのかな。
http://www.bk1.jp/product/02980119
4月頭には、小学館文庫で『なぎさの媚薬3』も刊行される。

3月16日付朝日新聞朝刊

城山三郎著『そうか、もう君はいないのか』(新潮社)の書評を書いている。