『ブランケット・キャッツ』(朝日新聞社、2008/2)

全7編からなる短編集。2泊3日でレンタルされる猫たちの貸される先を描く。
とりわけよかったのが3編目の「尻尾のないブランケット・キャット」。ここでは、いじめをしている男の子とその父親の関係がキーになっている。

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いじめというのは「悪」で、やっちゃいけないもので…。世間ではそんなふうに語られるだけだが、実際に子どもがいじめをしていたら、親には何ができるだろう。そもそもいじめをしているのを見抜けるのだろうか。
私たちが思考停止に陥っている「いじめる側」について描いたという点で、意味ある1編になっていると思う。

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あと、気になった部分がひとつ。「譬えるなら、ゲーセンのシューティングゲームだ」(p.163)というところ。ここは結婚をまえに悩む女性の心中なのだが、断言してもいい、この女の人は絶対ゲーセンとかいかない性格*1。いったとしてUFOキャッチャーか、音ゲーだろう。筐体のまえに座ってシューティングゲームなどありえない。家庭用にだってその種のゲームはあるわけだし、ここは「ゲーセンの」を取ったほうがよかった。

『教育とはなんだ』文庫化

ちくま文庫の3月新刊にラインナップされている。しかも「増補新版」ということだ。どの程度の増補になるだろう。

*1:譬えとして使っているのだから、ゲーセンにいかない人間でも問題ないという意見があるかもしれない。しかしそれは問題がないだけであって、適切さを欠いていると思う。