日本嗜好品アカデミー編『煙草おもしろ意外史』(文春新書、2002/9)

全5章構成。うち煙草の歴史を綴っているのは3章まで。ここはタイトルに偽りなく面白い。が、その後の2章はというと、嫌煙の流れについての反論。面白くもないし、歴史の話でもないし、何かだまされた気分だ。
それも、巻末の著者紹介を見ればわかる。本島進、青木芳夫、半田昌之という3人の名前があげられているのだが、全員JTと関係がある。どうしたって、煙草擁護にしかならないわけだ。
しかも、この本の主張にはまったく正当性が感じられない。それは、「煙草は歴史ある嗜好品だ、吸うことによってリフレッシュできるし、また社交にもなるのだから、悪くいうのはナンセンス」というもの。吸うことが他人にもたらす不快感を、何も考慮してないのである。

鴨志田穣西原理恵子著『もっと煮え煮えアジアパー伝』(講談社、2003/3)

シリーズ4作目になるのかな。前作未読でも、問題なく楽しめた。初出は『小説現代』で、中身は鴨志田さんがアジアを旅したルポがメインで、それに関連があるような、ないような西原さんの漫画が添えられている。
旅ものはよくあるけど、この本の何が面白いかというと、やっぱり「女」がちゃんと書かれてるところだな。あとは会話文の書き分けがうまいから、人物の特徴がよく浮かび上がっている。そこらへんが、この本にアクセントをもたらしていると思う。機会があったら、シリーズの他の作品も読んでみたい。