数土直紀著『自由という服従』(光文社新書、2005/1)

「自由」と「服従」。一見すると相反するようなふたつの言葉が「という」で結ばれる。だけど矛盾はしてないし、それどころか、自由だからこそ服従する、というのが著者の主張。
均質ではない創意工夫ができる自由な状態であればこそ、そこには他者の評価が入ってくる。そしてそれから逃れることはできない(つまり服従せざるをえない)。だけど、そこで意識する他者というのは、自分が内面化した他者であって、他者そのものとイコールではない。そんなことを客観的に認識すれば、少しは楽になるんじゃないか。著者がいいたいのはそんなことだ。
読み終えて、実際に楽になった気がした。だけど、私ってそんなに他者の評価へ晒される場所へいるんだっけ。まあ、気分がよくなったなら、それはそれでいいか。

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自慢だが、この本は著者にサインをもらった。もらうだけもらっといて3年も積読していたことに、奥付を見て気づく。