浅野妙子・尾崎将也脚本、伊武桃内ノベライズ『ラブ ジェネレーション』(扶桑社、1997/12)

1997年10月から12月にかけて放映された大ヒットドラマのノベライズ。巻末には小岩井宏悦(プロデューサー)によるあとがき(全5ページ)、および松たか子永山耕三(演出)の対談(全7ページ)が掲載されている。

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片桐哲平と上杉理子はある夜、出会う。ふたりはホテルへいくが、哲平は理子にうまく逃げられてしまう。翌日、哲平は会社で異動を告げられた。その部署へ出向いてみると、あろうことか理子がいるではないか。ありがちな偶然で同僚になったふたりは、だんだんと魅かれあっていく。しかしそこには、哲平の兄である荘一郎と、その彼女でかつて哲平とも付き合っていた水原さなえがからんでくる。愛し愛され、傷つけ傷つけられ…、それでも愛することをやめない愛の世代の物語。

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ノベライズがうまい。オーソドックスな3人称ではなく、哲平と理子の1人称を交互させて文章を綴っていく。
1人称にするということは、すなわち地の文で「私」の感情を書く余地が生まれるということ。筆者はここが見せ所とばかりに腕をふるう。哲平が理子に気持ちを伝えようと逡巡する様子、あるいは理子が哲平を想うせつなさがとてもよく描かれていると思う。
あとがきもいい。放映当時、キャストだけで視聴率を取っているとさんざん批判されていた記憶があるけど、そんなドラマに込められていた主張をプロデューサーが明かしている。曰く、「恋愛は、人生の目的ではない」。恋愛はプロセスで、それとともにあるいはその先にある幸福こそが目的なのだと。