生田紗代著『たとえば、世界が無数にあるとして』(扶桑社、2007/12)

部活動の盛んなその高校には、「進路研究クラブ」なるものがあった。要するに帰宅部。だけど、ちゃんと週に1度は活動がある。そうして部室に集いし男女4人が織りなす物語。
ざっとプロフィールを知っているぐらいの作家だったが、本書は近い将来の飛躍を予感させる。
彼らは学校内であぶれて、この場所にやってきた。具体的な活動なんてないようなものだから、集まりを持つその時間は、雑談をする。それは、部員が読んでいる本や漫画のことだったり、あるいは部室以外の場所における部員のありようだったりするのだが、彼らの話は実に深く哲学的なのだ。あぶれた者たちは、やはり考え方も普通ではない。
物語は部員たちの未来を織り交ぜた形で描かれる。かつてとは違って、一応は世間になじめている4人。そんな生活のなかに、部室での時間やそこで過ごした意味を思ってみる。
この本のよさというのは、あぶれた者たちの心情描写がすばらしいことに尽きる。それも文章単独ではなく、上で書いた構成も大いに貢献している。見事というしかない。
初出は『en-taxi』。4編からなる連作短編集で、部員たち4人それぞれの視点から綴られる。