那須正幹著『ズッコケ中年三人組age42』(ポプラ社、2007/12)

ことしも出たズッコケ。今作で描かれるのはいじめ。いままでのズッコケが取り上げなかった部分だ。
この著者は決して上手そうに書かないが、細かいところまで目配りが行き届いている。たとえば連休がくることの安心感や、自分がいまされているのはひょっとしていじめなのと疑問を抱く過程など…。そしてまた、展開を性急にしないのもよい。いじめは、ちょっとやそっとのことで成り立っているのではないのだから。
なお、作中ではゆずとのコラボレーションがなされている。帯でそれを知ったとき嫌な予感がしたのだが、読んでみるとまったく無理やりな印象はない。

金原ひとみ著『アッシュベイビー』(集英社、2004/4)

この人の好きなところは、会話文の内容。変に小説ぶらず、実感がわくというか。