日原いずみ著『赤土に咲くダリア』(ポプラ社、2007/10)

女性を主人公に、見合いから、妊娠、出産、子育て、そして夫婦の関係の移ろいを書いた小説。
小説でありながら、ノンフィクションを読んでいる気にさせられる。それは感情を「描写」していないからだと思う。描写するのではなく、ストレートに吐き出したとでもいおうか。だから力強いし、胸に迫る。
もうひとつ特徴的なのは、負の感情の多さ。とにかく負・負・負で、たまに正。妊娠や出産を神聖なるすばらしいものとすることなく、ひたすらリアルに徹している。そんな小説だった。