彩河杏著『彼の地図 四年遅れのティーンエイジ・ブルース』(集英社文庫、1989/1)

実香の同級生で、優等生だったスグルが、大学に姿を見せなくなった。そればかりか、彼は変貌し、ところかまわず大人への反抗を訴え始める。尾崎豊*1の影響だ。はたして実香はどうするのか、いった何ができるのか、といった筋。
作品世界が、そのまま尾崎豊の歌詞に連なるように思う。といっても、私は彼の生み出したものにどっぷり触れてるわけじゃないけどさ。
以下、誤植の指摘。
p.14「週間読売」:これはないわな。
p.21「ゆっくりと吟味し、おいしいかまずかを決める」:まずか。何弁だろう。

彩河杏著『憂鬱の、おいしいいただき方』(集英社文庫、1989/4)

ティーンエイジャーの日常が6通り描かれる。彼ら彼女らは、まったく別々の人生を送っているのだが、最後に「憂鬱の、おいしいいただき方」というライブで、わずかに交差する、という構成。
『彼の地図』と比べるならば、少女たちに支持されやすい傾向の作品かと思う。単純に登場人物たちも、年齢低目だし。

*1:固有名詞としては出てこないが、内容より類推できる。