『三面記事小説』(文藝春秋、2007/9)

実際に起きた事件をベースに、その裏側を描くフィクション全6編。初出は『別冊文藝春秋』で、4編目の「永遠の花園」のみ既読だった。
感想はとにかく「打ちのめされた」ということに尽きる。4編目まではわりとさらっとした感じなのだが、ラスト2編は人の内面をこれほどにもかと抉(えぐ)る。だから、読んでいて痛くなった。

『予定日はジミー・ペイジ』(白水社、2007/9)

帯の言葉を借りると「マタニティ日記」。といってもエッセイではなく小説。夫との性交に始まり、妊婦である主人公の生活が綴られていく。
全編通じて、幸福感に満ちあふれた1冊なのだが、とりわけいいなと思ったのは10月14日の母親学級のくだり。スタイリッシュ妊婦こと佐伯さんと主人公とは、以前いった別の母親学級の話で一気に距離を縮める。その様子がとても爽快だった。
なお、9/29のトークショーにて担当編集者から訂正のお知らせがあった。この本の最後3日間は、正しくは1月9日、10日、11日となる(ジミー・ペイジの誕生日を考慮)。後のほうから出回ったっものについては、訂正の紙が入れてあるようなこともいっていた。